1. 医療関係者とよい関係を築くために

医療関係者とよい関係を
築くために

医療関係者とよい関係を築くためのヒント

納得した治療を受けるため、治療・療養生活を良好に送るためには、患者さんと医療関係者との相互的なよりよい信頼関係・コミュニケーションが大切です。

対話の積み重ねが大切

信頼関係を築くためには良好なコミュニケーションが大切ですが、はじめから上手にコミュニケーションがとれないことがあるかもしれません。でも、日常的な人間関係と同様に、対話を重ねていくうちに、自然に信頼関係が築かれることでしょう。時間をかけて少しずつ、築けていけたらいいですね。

患者さんと医療関係者が目標を共有する

医療関係者は患者さんにとって医学的に望ましいと考えられる選択肢を提示し、患者さんは医療関係者にご自身の好み、希望、価値観などを伝えます。その上で、患者さんと医療関係者とが治療目標を設定・共有すること、そして病気に一緒に取り組んでいくこと―すなわち「目標の共有」と「協同」が大切です。

上手に話す・伝える

医療関係者とのよりよい関係づくりのために、話上手・聞き上手になりましょう。

話上手・聞き上手になるためのヒント

  • ご自身の体調のことをきちんと伝える。
    ご自身の体調や病気による症状、くすりによる体への影響などを日々メモしておき、診察時に伝えましょう。医療関係者は、患者さんのお話から何らかの対策をすみやかに取ることができるでしょう。
  • 伝えたいこと、質問したいことを事前にメモしておく。
    症状以外に医療関係者に聞いてみたいことや、いまの気持ち、不安・疑問に思っていることなどもメモしておくことで、診察時にもれなく、スムーズに伝えることができるでしょう。
    何を一番伝えたい・聞きたいのか、優先順位をつけておくことも大事です。
  • 医療関係者の説明をメモする。
    メモしておくことで、後で説明内容を確認したい・よく理解したいと思ったときに役立つでしょう。
  • わからないことはそのままにせず、質問する。
    医療関係者の説明でわからないこと、難しい言葉、くすり、検査などに関する疑問点などがあったら、「わからない」と伝えましょう。伝えないと、医療関係者は患者さんが理解したと受け取ってしまいます。
  • ご家族や友⼈に同席してもらう。
    どうしても緊張してしまう、遠慮してしまうという場合は、ご家族や友⼈に同席してもらい、サポートしてもらうのも良い⽅法です。

他の医療関係者等への相談、セカンドオピニオンが有用な場合も

主治医と十分なコミュニケーションがとれないと感じた場合は、看護師など他の医療関係者や、病院の「相談窓口」、がん診療連携拠点病院等に設置されている「がん相談支援センター」などで相談するのがよいでしょう。
問題点を整理して、質問の仕方を助言してくれたり、場合によっては面談に立ち会ってくれるかもしれません。
また、治療方針など重要な決定を行う前に、セカンドオピニオンとして主治医以外の医師の見解を求めておくこともよいかもしれません。

ご自身がどうしたいかを医療関係者に伝えるためには、自分にはどのような治療選択肢があるのか、そのメリット・デメリットを知っておく必要がありますし、これからの人生をどのように生きたいかなどについてきちんと考えておく必要があります。そして、医療関係者とよりよい信頼関係を築くため、医療関係者と患者さん・ご家族でそれぞれの情報をきちんと、温かく、共有し、理解を深めることが大切です。
また、医療関係者の話をよく聞くこと、そしてわからないこと、納得できないことなどがあったら、どんなことでも遠慮せず相談しましょう。
大変なことだと思いますが、そうすることで、納得して治療を受けること、さらにはご自分らしい人生を送ることにつながるでしょう。

監修:公益財団法人がん研究会有明病院 腫瘍精神科 部長
清水 研 先生

(公開:2021年3月)